
「iTT-国際ツーリズムトレードショー2025」が、2025年6月25日~27日にかけて東京ビッグサイトで開催される。今年も、「iWT-国際ウェルネスツーリズムEXPO」と「観光DX・マーケティングEXPO」で構成。観光・宿泊・ツーリズムに特化した商談展示会として、新しい観光地の発掘や誘客につながるヒントの発見などが期待されている。3日連続で開催される「トラベルボイスLIVE」にも注目だ。
iTT事務局長を務めるRX Japanの細野圭氏は、開幕を目前にして「ウェルネスでは日本の観光の強みを打ち出し、観光DXでは川上から川下までサポートできる展示会になる」と自信をみせる。「日本の観光が盛り上がるなか、その産業をサポートできるような展示会にしていきたい」と語る細野氏に、今年のポイントや見どころを聞いてきた。
イベントを企画・主催するRX社は、世界的イベントの企画・運営企業として知られ、観光分野では「WTM(world travel market)」、「ILTM(international luxury travel market)」を開催。RX Japanが、2025年に日本国内で企画・主催するイベントは38分野106件にのぼる。
今年は新たな交流会や、万博との連携も
2024年の「iTT-国際ツーリズムトレードショー2024」は144社(国内113社、海外31社)が出展し、来場者数は2023年の初回から約3380人多い9357人にのぼった。
細野氏によると、2025年は観光DX分野の出展社数が増加することで、昨年の1.2~1.3倍の規模になる。特に、宿泊テック領域の事業者による出展が増えているという。来場者数も1万2000人ほどに増えると見込む。今年の来場登録は初速もよく、5月末時点の登録状況では、旅行会社、アクティビティ事業者、宿泊施設、自治体、観光協会などが顕著な伸びをみせた。
3回目の開催となる今年は、BtoBイベントとしての認知も高まっていることから、会場の内のラウンジで新たなネットワーキングの機会を設ける。この交流会は自治体、観光協会、DMOが対象。RX Japanマーケティング本部主任の山田舞氏 は「普段なかなか会えない遠方の地域や似た境遇の地域の人たちとの情報交換や人脈づくりが可能になる」と説明する。観光産業の有識者によるセミナーも実施予定。交流会に参加するためには事前の申し込みが必要だ。
また、今回は開催中の大阪・関西万博とも連携する。「いのち輝く未来社会のデザイン」をメインテーマとする万博では、8つのテーマで同時期に開催するイベントと連携。そのうちのひとつのテーマ「健康とウェルビーイング」で、「国際ウェルネスツーリズムEXPO」と協働する。万博を訪れる外国人ビジネス客など、万博と組み合わせた来場者にも期待できる。
なお、今年も東京ビッグサイトでは、同期間に「総務・人事・経理Week」を開催する。業務効率化や働き方改革の視点で、そのイベントに参加している企業からの来場も見込まれている。
ウェルネス分野:クルーズからアクティビティまで幅広い出展
「iWT-国際ウェルネスツーリズムEXPO」は、日本で唯一のウェルネスツーリズムに特化した展示会として、健康推進プログラムやリトリートを活用した地方創生やワーケーションなどの事例、各自治体や企業の取り組みなど、次のビジネスにつながる機会を提供していく。
2025年は、新たにクルーズ会社も出展。「MSCクルーズジャパン」と「クルーズマニア」がブースを構える。また、「日本酒×インバウンド」をテーマにした日本酒体験施設も登場。アクティビティ系では、保津川下り、奄美大島近隣のマリンアクティビティ、北海道鶴居村のアドベンチャーツーリズムなどが出展する。
リトリート領域では、湯治リトリート、森林セラピーなどの事業者のほか、話題となっている「ファスティング(断食)」の合宿プログラムを提供している千葉県の「亀山温泉リトリート」も出展する予定だ。
また、特設エリアとして、昨年に引き続き「温泉ストリート」を設けるほか、今年は世界のウェルネスホテルに目を向けてもらう目的で「World Wellness Hotels Collection」を立ち上げる。すでに、バリ島の「Amanuba Ersadeva Resort」とスペイン・セルビアで建設が進むホテルの出展が決まっている。
このほか、医療ツーリズムの出展も昨年同様の規模になる見込みだ。
観光DX:スマートモビリティの試乗体験も
「観光DX・マーケティングEXPO」では、観光産業の「稼ぐ力」を強化するソリューション・サービスが集結する。人手不足対策、AI活用ソリューションやデジタル・マーケティング/広告ソリューションなどに加えて、今年は宿泊施設向けの清掃衛生プロダクト/サービスを展開する企業も出展する。
また、施設の付加価値向上のエリアも充実。2025年は、宿泊施設に絵画を提供する銀座のギャラリーが新たに出展。山田氏は「3回目の開催を迎えて、ツーリズムのイベントとしての認知度も高まってきた」と手応えを示す。
大手企業では、昨年に引き続き、JTB、ANA X、ナビタイムジャパン、大日本印刷、タイムズ24などに加えて、今年は新たにホスピタリティ・テクノロジーの「ファーウェイ」の出展も決まった。モビリティ分野では、電動トゥクトゥクや自動追従ロボットなどスマートモビリティの試乗機会も用意し、体験を通じてその価値を実感してもらう工夫も加える。
(左から)RX Japan細野氏、山田氏セミナー:基礎から応用まで、知見を共有
展示に加えて、セミナープログラムもさらに充実させる。基調講演では、観光庁審議官の鈴木貴典氏が「持続可能な観光立国に向けて」をテーマに、日本の今後の観光政策を解説する。
「国際ウェルネスツーリズムEXPO」では、JTBによる「ウエルネス旅行商品の開発」、エクスペディアによる「世界における旅の潮流」、日本政府観光局(JNTO)による「高付加価値旅行の可能性」、JTB総合研究所などによる「アドベンチャーツーリズム」、日本スパ&ウェルネスツーリズム協会(JSWT協会)による「ウェルネスリゾートマーケテイング」などを予定。
「観光DX・マーケティングEXPO」では、AICX協会による「観光業界における生成AI活用」、陣屋による「DXとおもてなしの両立」、さとゆめによる「地域活性化・地方創生」、EYストラテジー・アンド・コンサルティングによる「パーソナライゼーションは実現するのか?」などのほか、デジタルマーケティングの基礎講座も提供する。
さらに、トラベルボイスは、3日連続で「トラベルボイスLIVE」を開催。Tradfit、tripla、NECソリューションイノベータらの観光ビジネスの展開と、それぞれのデジタル知見を共有する。
過去2年、商談会の活気が印象的な大型イベント。今年も、活発なBtoBの商談や出会い、未来に向けたヒントを得る場として期待ができそうだ。