クロアチアとスロベニア、日本の旅行業界向け商談会を共同開催、日本/クロアチア間の直行便開設に意欲

クロアチア政府観光局とスロベニア政府観光局は、日本では6年ぶりとなる旅行業界向けセミナーと商談会を共同開催した。両国とも日本人旅行者数はコロナ前の水準には程遠く、今回の共同開催で日本の旅行会社との関係を深めることで、両国の商品造成と送客を促していきたい考えだ。

クロアチアへの日本人旅行者数は、2018年は約16万人だったものの、2024年は4万2000人にとどまっている。一方、スロベニアでも2024年は前年比19%増となったものの、パンデミック前の水準への回復は遅れている。

旧ユーゴスラビアながら、現在は独立国の両国が共同で日本市場へのアプローチを強める背景について、クロアチア政府観光局局長のクリスティアン・スタニチッチ氏は「日本人旅行者は欧州旅行では周遊を好む傾向にある。その意味で、スロベニアとともにより多くの魅力的な体験を提供できる」と説明した。

また、スロベニア政府観光局デジタルコンテンツマーケティング部部長のアナ・サヴシェック氏は、「両国は競合というよりもパートナー。補完関係にある」と強調。スロベニアでは山や湖、一方クロアチアでは海岸線と異なる自然景観が広がることから、スタニチッチ氏は「より多様性のある体験を提供することができる」と自信を示した。

両国の共同プロモーションは他市場でも展開。両国へのゲートウェイの一つとなるオーストリアも加えたパートナーシップも展開していくという。

両国はそれぞれの観光素材もアピール。クロアチアのスタニチッチ氏は、ドブロヴニク旧市街、スプリットの史跡群とディオクレティアヌス宮殿など国内10カ所のユネスコ世界遺産、アドリア海でのマリンアクティビティ、多様性のあるガストロノミーなどを紹介した。

一方、スロベニアのサヴシェック氏は、同国が産業横断で進めているブランディング「I Feel Slovenia」について説明。観光産業では、サステナブルツーリズムに力を入れており、そのビジョンとして「クリーン・ブティック・デスティネーション」を推進していると紹介した。そのうえで、「2024年の海外からの訪問者数は過去最多の650万人となったが、スロベニアは旅行者数よりも、我々の哲学に合う旅行者の誘致を進めていく」として、量より質を重視し、「責任ある観光を進めていく」方針を示した。

なお、両国ともEU加盟国でユーロ通貨を導入、シェンゲン協定にも加盟している。

クロアチアのスタニチッチ氏(左)とスロベニアのサヴシェック氏。

日本/クロアチア間の直行便開設を

このほか、クロアチアのスタニチッチ氏は、日本からの航空アクセスについて、周辺国からクロアチアへの路線は充実しているものの、将来的には日本/クロアチア間の直行便の開設にも意欲を示し、「まだ具体的な計画はないが、クロアチアの日本大使館や観光機関などとは話をしている」と明かした。

「我々の目標としては、年間を通じて観光客を誘致すること」とスタニチッチ氏。その点でも直行便の効果は大きい。例えば、ニューヨーク線の直行便開設によって、過去3年間で米国からの観光客は2倍に増加。また、昨年には韓国のティーウェイ航空がソウル/ザグレブ線を開設したことで、韓国からの観光客は50%増加し、現在では長距離市場で米国に次ぐ第2位の送客市場になっているという。

スタニチッチ氏は、大阪・関西万博を契機として、クロアチアから多くの要人が来日し、日本との関係強化が進んだとの認識を示したうえで、その関係を維持・発展していくためにも、直行便は重要との考えを強調した。

みんなのVOICEこの記事を読んで思った意見や感想を書いてください。

観光産業ニュース「トラベルボイス」編集部から届く

一歩先の未来がみえるメルマガ「今日のヘッドライン」 、もうご登録済みですよね?

もし未だ登録していないなら…