ルフトハンザ航空、日本路線に新客室「アレグリス」導入、個室ファーストクラスも、欧州路線の需要回復の起爆剤に

ルフトハンザ・ドイツ航空は2025年10月27日、羽田/ミュンヘン線で新仕様の客室「アレグリス」を搭載したA350-900の運航を開始した。同航空は、2025年までに製品およびサービスの改善に25億ユーロ(約4430億円)を投入。今後12ヶ月で7000万ユーロ(約1240億円)の投資をおこなう。

アレグリスは今後、ボーイング787-9、777-9、747-8にも搭載される計画。これにより、同航空保有機材でのアレグリスは約2万7000席となる予定だ。

このほど来日した同航空チーフカスタマーオフィサー(CCO)のハイコ・ライツ氏は会見で、アリグリスについて、「日本の『和』の哲学に影響された。ファーストクラスには『粋』の精神を生かすなど、日本の『おもてなし』を表現している」と説明。そのうえで、現在、日本/欧州間はロシア上空での飛行制限のため14~15時間の長時間フライトとなるため、「最新技術と最新素材を活用した新座席の快適性と利便性は、旅客に安心感を与えるものになる」と自信を示した。

(左から)CCOのハイコ・ライツ氏、日本・韓国支社長のラリー・ライアン氏

ファースト、ビジネスには温度調節機能も

A350-900のアレグリスは、ファーストクラス3スイート(最大4席)、ビジネスクラス38席(スイート8席を含む)、プレミアムエコノミークラス24席、エコノミークラス201席の計267席。

ファーストクラスとビジネスクラスでは、初めて同伴者と隣り合わせで過ごせるスイートコンセプトを導入した。特にファーストクラスでは、個室スイートと独自設計の「ファーストクラスプラス」を提供。個別に調節可能な2席の座席は、長さ205センチメートルのシングルベッドあるいはダブルベッドになる。ほぼ天井までの高い仕切り壁とドアを設けることでプライバシーも確保することが可能。ドアにはホテルのように「Do not disturb」の表示を設けた。

ファーストクラスの設置について、ライツ氏は「我々では、その需要はまだあると見ている。空港のファーストクラスラウンジと合わせて投資を進めている」と説明した。

また、新たな装備として、ファーストクラスとビジネスクラスには、各座席に自由に温度を調節できる機能も搭載した。

ファーストクラスプラス(報道資料より)

ビジネスクラスは、最前列に設置され、可動式パーテーションでプライバシーを保つ「スイート(中央はダブルスイート、窓側はシングルスイート)」、通路からの距離をとった「プライバシーシート」、長さ2.2メートルのベッドを備えた「エクストラロングベッド」、広めのスペースと収納棚を備えた「エクストラスペースシート」、全席通路にアクセスできる「クラシックシート」の5種類を提供する。

このほか、ファーストクラスでは最大32インチ、ビジネスクラスでは最大27インチの4Kモニター、ノイズキャンセリングヘッドフォン、ワイヤレス充電機能を装備する。

ビジネスクラスのスイート(報道資料より)先端の機内エンターテイメントシステムも

プレミアムエコノミークラスの座席ピッチは99センチメートル。肘掛けにワイヤレス充電を備え、ノイズキャンセリングヘッドフォンも提供する。エコノミークラスの座席ピッチは79センチメートル。最前列のレッグルームシートの8センチメートルの座席間隔を設けた。

さらに、全席でBluetoothを通じて自身のデバイスを接続できる最先端の機内エンターテイメントシステムも導入した。

プレミアムエコノミークラス(報道資料より)

「乗客からのフィードバックはとてもいい」とライツ氏。同航空としては、日本発のレジャー、法人需要ともに2019年水準には戻りきっていないなか、アレグリスを市場回復の起爆剤にしていきたい考えだ。また、同航空日本・韓国支社長のラリー・ライアン氏は、日本発の海外旅行(アウトバウンド)に加えて、「日本政府が目標に掲げている2030年の訪日客6000万人に向けても貢献していきたい」と話した。

※ユーロ円換算は1ユーロ177円でトラベルボイス編集部が算出

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