LINEヤフー、コミュニケーションの入り口をAIエージェントに統合、広告配信も設計から対象設定まで一気通貫で支援

LINEヤフーは、企業向けイベント「LINEヤフー BIZ Conference 2025」を開催し新たなサービスを含めた今後の展開を説明した。同社は、これまで法人向けサービスの連携によって顧客起点を一気通貫させるプラットフォーム構想「CONNECT ONE」に取り組んできた。今後、LINE公式アカウントを中心に様々なビジネスアセットソリューションを連携統合するプラットフォーム構想にAIを組み込むことで、さらに進化を加速させる方針だ。

LINEヤフー上級執行役員コーポーレートビジネスドメイン ドメインリードの池端由基氏は、基調講演で「AIを実装することで、より一気通貫した本当の意味でのCX(顧客体験)が実現できる」と話し、CONNECT ONEにAIエージェントのインターフェイスを実装していく方針を示した。

また、「AIエージェントが購入や予約、様々なコンバージョンまでの誘導を自律的に行うプラットフォームを作っていく」と続け、広告主である企業パートナー向けにキャンペーン設計から広告最適化、インサイト発掘など次世代のマーケティングを支援していく考えを強調した。

LINEヤフーは「AIファースト」として、様々なプロダクトにAIアシスタントを実装してきた。Yahoo!JAPAN AIアシスタントおよびLINE AIトークサジェストのユーザー数は、すでに860万DAUにのぼる。法人向けサービスでは、検索広告のタイトルやディスクリプションのAI生成機能、2025年11月にはFAQの生成からAIがアシストするAIチャットボットベータ機能をリリースした。

LINEヤフーのAI戦略を説明する池端氏

コミュニケーションの入り口をAIエージェントに統合

同社上級執行役員コーポーレートビジネスドメイン ドメインCPO ビジネスPF SUB SUBリードの二木祥平氏は、AIエージェントによって目指すCX体験や顧客体験の高度化、マーケティング業務効率化について説明した。

 CXの高度化については、これまでチャネルごとに分断されていたユーザーとのコミュニケーションをLINE公式アカウントのAIエージェントがすべて一つに統合する。これによって、ユーザーは、それぞれのブランドやサービスに問い合わせる時、まずはLINEでエージェントに相談することが可能になる。二木氏は「ユーザーに認知してもらえるブランドエージェント体験というものを実現したい」と話した。

マーケティングでは、LINEヤフーのサービス管理画面にAIエージェントを実装。マーケターのニーズに対して自律的にアクションを行い、マーケティングの上流から下流まで一気通貫でサポートする。エージェント側からの接客体験発話が始まり、リアルタイム性のあるやりとりを開始。それを支える音声入力、あるいは動画入力といったコミュニケーション機能もサポートしていく。

具体的には、インサイトの発掘を手助けする。検索データあるいは配信結果、ファーストパーティーデータなどを掛け合わせることで、ユーザーのインサイトの理解を深め、さらに次の施策まで提案していく。さらに、そこからキャンペーン設計も自動化。予算や目的から最適なコミュニケーションプランを設計し、策定したプランに合わせたクリエイティブやターゲティング設定なども自律的に提案する。二木氏は「直接的に直感的に業務を進められる体験を目指す」と説明した。

二木氏は具体的な取り組みを説明。来春、LINE広告とYahoo!広告が統合

また、二木氏は、2025年6月からLINEビジネスIDとYahoo! JAPANビジネスIDを共通のログインID「ビジネスID」として提供を始めたことを説明したうえで、来春にはLINE広告とYahoo!広告が一つのプラットフォームに統合されることを紹介した。

二木氏は「より効率的に簡単にメール配信、すべてのLINEアプリのユーザーへリーチが可能になる。Yahoo!の検索データあるいはLINEのユーザーデータなど様々なデータの横断活用ができるようになる」と説明。それにより、アルゴリズムが刷新され、ユーザーが商品やサービスに関心を持ったその瞬間を、よりリアルタイムに精緻に捉えることが可能になるという。

そのデータを可視化するプロダクトの開発も加速。まず先行して2025年10月からは「Business Manager Insights」の提供を始めた。これは、LINEヤフーのサービス・アカウントを横断した統合分析を実現するもの。プランニングから実行・最適化までを支援する。

LINE広告とYahoo!広告との統合後は、データを一本化。すべての広告データを横断的に分析できるようになる。例えば、広告あるいはメッセージを横断した統合的なリーチ、LINE公式アカウントの友だちの興味関心の定量的な把握、最適セグメントの把握などの精度が飛躍的に向上する。二木氏によると、2026年3月ごろからLINE公式アカウントや広告を利用中の企業向けに提供していく予定だという。

新プロダクトも続々

このほか、二木氏はプロダクトのアップデートも説明。まず、2025年12月から「LINE Home Tab」の提供を開始する。「ユーザーに最適化された情報が集約される。日常的にLINE公式アカウントとの接点が生まれる重要な場になっていく」という。今後、Home Tabと連動する広告メニューも登場する予定。12月から一部ユーザー向けに先行リリースする。

また、2025年11月17日からは「LINEタッチ」を導入した。店舗やイベントなどでスマホを専用のNFCタグにかざすだけで簡単に LINE 公式アカウントやミニアプリの起動、誘導が可能になった。今までのQRコードよりも、よりユーザーに簡単にアクションを促せる機能として、二木氏は「我々が想像しないような使われ方にも期待している」と先を見据えた。

さらに、LINEミニアプリについても説明した。2025年9月現在のサービス数は前年比138%の2万5000件以上に拡大。月間利用者数も1680万MAUに達している。2026年2月からは、新たに「ミニアプリタブ」の提供も始める。「ウォレットタブ」を刷新し、人気のサービスや利用履歴、お気に入りを集約し、ミニアプリへのアクセスをスムーズにするものだ。

こうした導線の改善により、「探す」「見つける」「繰り返す」という体験をLINE内でスムーズに完結できるようになる。

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