日本ホスピタリティテクノロジー協会(JHTA)は、2026年1月15日、設立記念式典を開催した。JHTAは⽇本の宿泊業界におけるデジタル化・DXを加速させ、観光産業の⽣産性向上を通じて、国際競争⼒を⾼めることを⽬的に設立。宿泊事業者を中心に、宿泊施設管理システムを提供するPMS事業者、その他テクノロジーベンダー各社と共に、業界で扱うデータの標準化や⾼度化を推進している。
JHTA代表理事の亀岡勇紀氏は式典で「これからの時代、日本の宿泊観光産業は、 AIをはじめとするテクノロジーを活用し、生産性を高めて、人にしかできない日本のおもてなしで国内外のお客様を迎え入れる。そうした取り組みをJHTAは推進していきたい」と挨拶した。
JHTAの役割を強調する亀岡氏
来賓として、公明党副代表で元国土交通大臣の赤羽一嘉氏が挨拶二たち、「これからの観光立国、2030年6000万人という大きな目標を達成するためには、スムーズなシステムの導入による人手不足の解消や生産性向上は乗り越えなければならない壁。JHTAの力でその課題を解決できるように、我々もしっかりとサポートしていきたい」と話した。
2030年6000万人に向けて宿泊施設の人手不足の解消や生産性向上を強調する赤羽氏
また、観光庁審議官の田中賢二氏は、同庁でも宿泊施設におけるデジタルツールの汎用性、互換性を高めるための標準仕様の策定に向けて調査を実施していることに触れたうえで、「JHTAとも連携をしながら、観光地や観光産業の発展に全力を尽くしていきたい」と意欲を示した。
観光庁としても観光DXを引き続き推進していくと田中氏
データの標準化、人材育成にも注力
式典では、JHTAエグゼクティブディレクターの杉田真志氏が、JHTAの活動について説明。「データ連携の共通基盤がないため、データが突合できず使いきれていないのが現状。JHTAは、その1社では解決できない課題解決に向けて旗振り役となる」と話した。
JHTAは、共通基盤を「協調」、サービスを「競争」と位置付け、中立性を保ちながら、行政、業界、テック企業の実装連携のハブとして機能していく方針。そのハブを軸に、データの標準化、データの高度活用、実証と社会実装、人材とリスキリングを進めていく。
データの標準化では、米国の非営利団体でホスピタリティ業界の技術開発を行うHTNG(Hospitality Technology Next Generation)のPMS標準API「HTNG Express」を活用。PMSのすべてのデータを開示するのではなく、必要最低限の開示データに絞り、他の宿泊施設システムと連携させる実証実験をおこなっていく考えだという。
すでに各ワーキンググループ(WG)が活動を進めており、そのうち技術専門委員会・データ標準化部会で委員長を務める原洋平氏が現状を報告した。WGでは、業界全体の土台となる「協創領域」の基盤作りを推進し、分断されているデータの形式・項目の標準化を進めている。
具体的には、宿泊施設のシステムに流れてくる5つのPMSデータ(顧客情報、予約・宿泊、客室、売上・会計、施設)について、標準セットを作成している段階だという。今後は、共通API仕様の検討、グローバルAPIとの接続促進、属性販売モデル(ABS)の調査、海外予約流通条件の調査、行政・DMO連携の検討を進めていく。原氏は「PMS会社との協力で、グローバルでの連携、行政との連携を目指した標準を作っていく」とした。
また、人材については、デジタル人材育成専門委員会・AI利活用部会で委員長を務める三浦康平氏が説明。宿泊業での人材不足の現状、低い労働生産性、日本で遅れているAI利用率などに触れたうえで、「AIを安全かつ実践的に活用できる人材」の育成に力を入れていく考えを示した。
これまでに、全国旅館ホテル生活衛生同業組合連合会と連動し、生成AI勉強会を計9回開催。宿泊業界に特化した生成AI活用レクチャー動画を70本以上制作したほか、人材育成プログラム「AIおもてなしアカデミー」も立ち上げた。また、2026年は実践形式のセミナーの開催も検討していくという。

