経費精算の伝票作成をAIが自動化、「楽楽精算」で新エージェント提供開始、確認だけで申請可能に

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クラウド型経費精算システム「楽楽精算」を提供するラクス社は、記者会見で同社が推進するAI戦略について説明するとともに、経費精算の伝票作成を自動化する「伝票作成AIエージェント」の提供開始を発表した。

これまでクラウド型経費精算システムとしてSaaSサービスを提供してきた「楽楽精算」は、生成AIの登場によって転換期を迎えている。

企業による生成AIの活用が進み、SaaSのようなウェブインターフェイスが不要になる、いわゆる「SaaS is Dead」論が議論されているなか、同社取締役兼CAIOの本松慎一郎氏は「経費精算にはいろいろな業務があり、登場人物も多いなか、すべてAIで自動化できるというのは乱暴な議論」と話す。

調査会社クロス・マーケティングが2026年3月に実施した調査によると、8割近い企業が「AIによる業務フローの再設計まで踏み切れない」と回答。また、33.1%が「いずれの業務もAIに主導的な判断を任せるのは難しい」と答え、「いずれの業務も一定条件であれば任せられる」(18.5%)を大きく上回った。

本松氏は「企業の多くは、合理性のある業務フローをわざわざ変えたくない。できるだけ変えずに自動化や効率化を進めたいというニーズが高い」と分析。このことから、ラクス社では、生成AIとルールベースのクラウドシステム、そして最終承認する人間が役割分担し業務を完遂させる「協働型AI」を目指していく方針だ。

証憑登録、伝票作成、承認、確認、データ連携のプロセスの中で、ルールベースが必要な科目は残しつつ、段階的に人間の業務をAIで自動化し、承認、確認、仕訳データ確認などは責任の所在を明らかにするため人間に残す。

報道資料より本松氏は「絶対に間違えられないポイントだけを人間がチェックすれば、従来のチェック業務を9割減らすことができる」として、2030年までに指示・確認・承認だけで業務が遂行される「完全自動化」を目指すと明らかにした。

そのうえで、ラクス社が掲げてきた「よりよく、寄り添う」というコンセプトは、新たなAI戦略と全く矛盾しない」と発言。「企業の業務全体を理解したうえで、そこを大きく壊すことなく、企業が維持したいところは維持し、効率化したいところを効率化できるようなAIを実装していく」と強調した。

ラクス取締役兼CAIOの本松氏(左)と支払管理ソリューション本部長の宮川氏

「伝票作成AIエージェント」の提供開始

「楽楽精算」では、経費精算時の伝票作成を自動化する「伝票作成AIエージェント」の正式提供を開始した。現在は、スマートフォン限定の機能だが、2026年9月にはPC版の提供も開始する予定だ。

この機能は、申請者が「楽楽精算」にアップロードした領収書を選択するだけで、AIが領収書の内容に加え、関連データを横断的に解析・紐づけし、経費精算の申請伝票を自動で作成するもの。これにより、申請者はAIが作成した申請伝票の内容を確認するだけで申請作業を完了できるようになる。また、AIによる自動入力によって項目の入力漏れや入力誤りを未然に防止できるため、申請者・承認者双方の経費精算業務の効率化につながる。

今後、証憑を自動で収集・アップロードする「証憑取得AIエージェント」の開発を進めていく。楽楽クラウドバックオフィス事業統括本部支払管理ソリューション本部長の宮川拓也氏によると、まず8月に「楽楽電子保存」でサービス提供を開始し、その後「楽楽精算」や「楽楽請求」に拡大していく。

一方、承認者側について、宮川氏は「AIに完全に任せることは難しい領域だが、確認作業を限りなくゼロにして、承認者は簡単に承認するだけという状態を目指す」と今後の展開を説明した。

現在、承認者の負担を軽減するAIとして、事前に設定した承認ルールに基づいて AIが申請内容をチェックする「申請レビューAI」、AIによってダブルチェックを行う「証憑・伝票 照合AI」、適格請求書のフォーマットに必要な情報を読み取り、結果を判定する「適格請求書 チェックAI」を開発しているところ。今後、順次提供を開始していく。

宮川氏は「AIが自ら領収書や請求書を取得し、伝票を作成・通知し、その承認をアシストする。そして、最終的に人間が簡単に確認するだけの完全自動化を目指していく」と意欲を示した。

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