世界のツアーオペレーター各社がロシア旅行を中止、ウクライナ危機受けて、旅行者の安全確保と制裁の両面で【外電】

ロシア/ウクライナ情勢を受けて、多くのツアーオペレーターがロシアツアーのキャンセルに追われている。米観光産業メディア「スキフト」は、ロシアでビジネスを展開するのはリスクが多すぎ、何よりも顧客の安全を守ることが困難になっていると指摘したうえで、ツアーオペレーターの対応をリポートしている。

米国をはじめ多くの国が、国民に対してウクライナとロシアへの旅行を控えるように警告を出しているなか、多くのツアーオペレーターが顧客の安全確保とツアー催行に頭を悩ましている。

Gアドベンチャーズの創設者ブルース・プーン・ティップ氏は「何よりも旅行者の安全が最優先」との声明を出したうえで、2022年の残りの期間、ロシアへのツアーすべて中止することを明らかにした。

同社は、今年と来年に予定されていたロシアへの25ツアーを取りやめる。また、世界的な制裁に従って、ロシアからの旅行者の受け入れとロシアの代理店からの予約も受け付けないことにした。

プーン・ティップ氏は「制裁はロシア政権に批判的な人にも影響を与えてしまうが、現状を変えるには、ロシアに圧力をかける他ない」と述べている。

また、著名なガイドブック作家で欧州でツアー会社も経営するリック・スティーブンス氏は、同じくロシアへのツアーを取りやめることを決定。「顧客を別のデスティネーションに振り分ける。プーチン大統領の利益になるようなドルをロシアへは持ち込まない」と話す。

一方で、キャンセルによって、顧客に払い戻しに追われるツアーオペレーターも出てきた。トラファルガーツアーズの米国社長メリッサ・ダシルバ氏は「顧客に対して、別の旅行先に変更するか、改めてスケジュールを後ろ倒しにするか、どちらかの選択肢を提示している」と明かす。

イントレピッドトラベルは、6月末までのロシアへのツアーを中止したが、その後については様子を見ているという。同社北米担当マネージング・ディレクターのマット・ベルナ氏は「すべてのロシアへのツアーを将来にわたってボイコットすると言っているわけではない。安全を確保するためにそうするだけのことだ。我々は、ロシア政権ではなく、旅行を通じてウクライナ人とロシア人双方を支持していく。できるだけ早く平和が訪れることを願っている」と強調した。

※編集部注:この記事は、米・観光専門ニュースメディア「スキフト(skift)」から届いた英文記事を、同社との提携に基づいてトラベルボイス編集部が日本語翻訳・編集したものです。

オリジナル記事:Tour Operators Commit to Cancelling Russia Trips for Rest of 2022

著者:Rashaad Jorden氏

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