日本のホテル投資の現状と未来とは? 海外投資家から熱視線、新潮流に大きなビジネスチャンス —JLL不動産&ホテル投資フォーラム(PR)

世界大手の総合不動産サービス会社「ジョーンズ ラング ラサール(JLL)」は、「The Great Return」をテーマに不動産&ホテル投資フォーラムを開催した。2022年10月11日からの大幅な水際対策の緩和によって、日本でもインバウンド市場の本格的な復活が期待されるなか、ホテル投資には、世界的インフレ、地政学的リスクなどの不確実性も指摘されるが、一方で新しい潮流も生まれている。

フォーラムでは、JLLのホスピタリティ分野の専門家が現状と今後の見通しを分析したほか、パネルディスカッションでは、ポストコロナのホテル業界のビジネスチャンスについて意見が交わされた。

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商業用不動産投資の注目ポイントは

JLLアジアパシフィック・チーフ・リサーチ・オフィサーのロディー・アラン氏は、世界の不動産市場の現状と今後の見通しについて講演。日本では水際対策の大幅な緩和によって、不動産市場も成長の方向に向かうと思われるが、中国のゼロコロナ政策の継続、世界的インフレ、ウクライナ危機などの流動的なリスクがあると指摘した。

一方で、今後もリモートと出勤のハイブリッドな働き方が続くと予想されることから、オフィス賃借需要は底堅いと分析。また、コロナ禍を経て、従業員は「給与」よりも「ウェルビーイング」を重視する傾向が強まっているため、「質の高いアセットへの移行が進む」と予想した。

JLLアジアパシフィック・チーフ・リサーチ・オフィサー ロディー・アラン氏

このほか、不動産市場でもCO2排出削減は重要なテーマとなっており、JLLの調査によると「自社がサステナビリティの課題に取り組むべき」と回答した従業員の割合は73%、また「サステナビリティ戦略はビジネスにとっても必須」との回答も72%にのぼっていることから、「カーボンニュートラルへの転換は今世紀最大のビジネス機会」と強調した。

グローバルの商業用不動産投資市場については、2022年第3四半期は、将来への不確実性の高まりにより減速したものの、「長期的視点では投資家の投資意欲は非常に強い」とコメント。そのうち、2022年のホテル・ホスピタリティ分野への投資は、2021年比で31%増加、サンフランシスコでは同100%増にもなることを紹介したうえで、「不動産市場全体として、長期的には投資を下支えする需要がある」との見通しを示した。

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グローバルで活発なホテル投資

JLLホテルズ&ホスピタリティグループ・グローバルCEOのヒルダ・ペレズ・アルバラード氏は、世界のホテル投資市場について説明。「水際対策を緩和した国から宿泊需要も客室単価も回復している」としたうえで、2022年第3四半期までの総ホテル投資額は、前年同期比0.5%減、2019年同期比8.6%減の504億ドルに回復。取引件数を見ると、前年同期比では58.6%増、2019年同期比では41.7%増となり、ホテル投資が活発化している現状を紹介した。

JLLホテルズ&ホスピタリティグループ・グローバルCEO ヒルダ・ペレズ・アルバラード氏

都市別の投資額では、トップがニューヨーク、2位がロンドン。3位は、2019年比で6倍も増加したソウル。2019年では東京が大型のホテル取引もありトップだったが、2022年第3四半期時点ではトップ10圏外となっている。

また、2022年9月時点の国別のRevPAR(販売可能な客室1室あたりの収益)回復率を見ると、2019年同月比で米国は105%、オーストラリアが104%などコロナ前を上回っている一方、日本は43%と半分以下にとどまっている。しかし、アジア太平洋地域の回復は全体的に遅れているものの、入国規制の緩和で改善していくと見ている。

ホテルのロケーション別では、最も投資額が多いのが都市部で全体の半分程度を占め、次いでリゾート地と都市近郊が続いた。

アルバラード氏は最後に、「ホテル事業ではESGへの取り組みも大切になっている。特に若い世代からの要求は強く、ホテルにとっては大きなプレッシャーとなっている」と現状の課題も指摘した。

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日本への不動産投資に海外投資家は積極的

JLL日本リサーチ事業部長の赤城威志氏は、日本不動産市場について概観。2022年第3四半期までの日本の不動産投資額は、前年同期比38%減の約2兆円。その背景には、J-REIT(不動産投資信託)売買金額の減少、事業法人による売却の減少、オフィス売買一件あたりの金額の低下など複合的要因があると説明した。

ただ、赤城氏は「日本の円安、低金利、安定性から、海外投資家の積極的な姿勢は変わらない。来年から日本の不動産市場は活性化していくだろう」との見方を示した。

JLL日本リサーチ事業部長 赤城威志氏

日本のホテル投資額は来年4100億円超に

このほか、JLL日本ホテルズ&ホスピタリティ事業部インベストメントセールズ・シニアバイスプレジデントのチャーリー・マックルダウイ氏は、日本のホテル投資市場について、水際対策の緩和後、安定的な国内需要に加えインバウンドの急回復が見込まれることから、「ホテルの宿泊需要は底堅い」と分析。インバウンドの中では最大市場であった中国の動向、円安による建設費の高騰によるホテル建設への影響など注視すべき点はあるものの、2022年のホテルへの投資額は3720億円、2023年は4170億円に増加すると予測した。

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JLL日本ホテルズ&ホスピタリティ事業部インベストメントセールズ・シニアバイスプレジデント チャーリー・マックルダウイ氏

パネルディスカッション:2023年のビジネスチャンスと課題とは

パネルディスカッションでは、「ポストコロナのホテル業界 ― オポチュニティとチャレンジ」をテーマに、デルタ航空会社日本地区社長の大隅ヴィクター氏、ヒルトン・ワールドワイド副社長 開発担当日本・ミクロネシア地区の藤本博久氏、三菱地所ホテル事業部ホテル運営事業室長の祖父江大輔氏、ヒルトン小田原リゾート&スパ 総支配人の小川和子氏が登壇し、JLL日本ホテルズ&ホスピタリティ事業部エグゼクティブバイスプレジデントの大橋蔵人氏のモデレートのもと意見を交換した。

パネルディスカッションの様子 

デルタ航空の大隅氏は、今後の羽田路線の復便について言及。「来年4月以降の夏期スケジュールから、様子を見ながら徐々に戻していきたい」と発言。そのうえで、2023年にコロナ前の7割から8割、2024年にコロナ前の水準に回復するとの見通しを示した。一方で、供給量の増加によって需要が急増すると、欧州のような空港での混乱が起きる可能性があるとの懸念も示した。

ロイヤルパークホテルズアンドリゾーツを完全子会社化した三菱地所の祖父江氏は、「外的要因で落ち込んだ需要は必ず戻る」との自信を示し、三菱地所としては投資を継続していく考えを示した。

また、ヒルトン・ワールドワイドの藤本氏は、最近になって新規案件やリブランド案件が増えてきたことを明かしたうえで、新規案件については、「建設費が高騰しているなか、マーケット特性をしっかりと分析する必要がある」と発言。リブランドについては、足元のインバウンドの回復によって、海外投資家から多くの問い合わせを受けていると説明した。

ヒルトン小田原の小川氏は、コロナ禍による市場の変化に言及。「国内外を問わず、多様な需要の形が出てきた。それに合わせて変化できるか。変わっていくことができれば、大きなチャンスになる」と話した。一方、人手不足、人材流出、コスト高などの課題も指摘。「本当のチャレンジは高コストをどのように管理していくか。どのように持続可能な経営をしていくかだ」と付け加えた。

このほか、日本の水際対策の緩和を受けて、インバンド市場の見通しについても各氏が発言。大隅氏は「緩和によって市場のスイッチがオンになったが、すぐに100%になるのは難しい」としたうえで、純粋なレジャー旅行者の回復は来年春頃からとの見通しを示した。また、復活に向けては、レジャーでも、コロナ前よりもプレミアムなサービスを求める傾向が強まっているとし、「付加価値をつけたプレミアムなサービスを提供することで、1マイル1座席あたりのイールド(収益)を上げていく」必要性にも言及した。

藤本氏は、緩和後の需要の急回復について「驚いている」と発言。ヒルトン東京のインバウンドの割合は2019年水準にほぼ戻っていることを明かした一方、中国市場が戻ってきた時のオペレーションについての懸念も表した。

小川氏は、富裕層や長期滞在の需要取り込みの重要性に触れ、「タイプを選べば大きな利益になる」との考えを示すとともに、「インバウンドは平日を埋めてくれる」として、需要の平準化にとっても重要な市場との認識を示した。

祖父江氏は、需要の回復について、来年は国内が100%、インバウンドは6割から7割との見方を示し、「2024年には2019年レベルに戻る想定で議論をしている」とコメントした。

なお、本記事で紹介した「JLL不動産&ホテル投資フォーラム」のオンデマンド動画(日本語同時通訳つき)を配信中。動画は以下のリンク先にて閲覧できる。

⇒「JLL不動産&ホテル投資フォーラム」動画配信ページ

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問い合わせ先:https://www.joneslanglasalle.co.jp/ja/contact-us

記事:トラベルボイス企画部

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