観光庁の2024年度予算が決定、前年度比1.6倍、デジタル活用高度化は6倍、地方インバウンド誘客1.7倍、ガストロノミー等の新規事業も

政府は、令和6年度(2024年度)の予算案を閣議決定した。観光庁の予算は前年度比1.64倍の約503億1800万円となった。来年度も引き続き、持続可能な観光地域づくり、地方を中心としたインバウンド誘客の戦略的取組、国内交流の拡大に取り組む。

また、復興枠に対して同0.99倍の7億6500万円を計上。令和5年度(2023年度)補正予算の約689億9300万円とあわせると総予算額は約1200億円となる。

人手不足対策に前年度比1.2倍の予算計上

持続可能な観光地域づくりの予算は総額51億6300万円。このうち、「観光地・観光産業における人手不足対策事業」に前年度比1.20倍の1億8000万円を計上した。人手不足の解消に向け、外国人材の活用や経営の高度化、事業者間連携による省人化などの人手不足対策を実施する。

具体的には、外国語人材の確保に向けて、特定技能試験の受験者を増やすためのジョブフェアなどのPR活動、試験合格者の雇用のためのマッチングイベントの実施、観光地における外国語対応人材の確保などを実施。また、経営の高度化では、「観光人材育成ガイドライン」に準拠した教育プログラムの開発・提供など経営の高度化に向けた支援する。さらに、新規事業として、事業者間の人材共有などの取り組みを支援する。

「通訳ガイド制度の充実・強化」では、前年度比1.02倍の6700万円を計上。通訳案内士登録情報検索サービスの運営や特定カテゴリーに関する研修などを実施し、通訳ガイドの質の維持・向上や、活用促進を図る。

このほか、デジタル関連の政策も引き続き強化。「ICT等を活用した観光地のインバウンド受入環境整備の高度化」では前年度比6.63倍の9億9000万円、「全国の観光地・観光産業における観光DX推進事業」では前年度比1.26倍の11億3000万円を計上した。

訪日客の誘客でコンテンツストーリー化など新規事業

地方を中心としたインバウンド誘客の戦略的取組では、前年度比1.78倍の439億4600万円を計上した。

新規事業では、「地域一体となったインクルーシブツーリズム促進事業」に8000万円を計上。ベジタリアン・ヴィーガン、ムスリムなど多様な食習慣・文化的習慣を持つ訪日外国人旅行者の誘客促進・観光消費拡大に向けて、観光関係者が連携して旅行環境整備に取り組むモデル実証を進める。

また、「ストーリーで繋ぐ地域のコンテンツの連携促進事業」に2億5000万円を計上。ストーリー性が感じられるツアーの新規造成・販売を支援するとともに、ツアーに同行し地域の多様な関係者と様々に連携しながらツアー全体をコーディネートする「Experience Manager」の育成にも取り組む。

「地域一体型ガストロノミーツーリズム推進事業」では2億円を計上。申請主体の要件を自治体や民間事業者などまで広げ、先進性のある取組については、ガストロノミーツーリズムの更なる類型化を図ることで最先端のモデル事例の取りまとめを行うほか、地産地消など持続可能なコンテンツ造成を行う。

「空港におけるFAST TRAVEL」も引き続き推進。15億6000万円の予算で、ストレスフリーで快適な旅行環境実現に向け、顔認証技術を活用した本人確認システムの導入、自動手荷物預け機や自動運転トーイングカーなどの自動化機器の導入、地方空港でのビジネスジェットの受入環境整備、チェックインカウンターの共用化などを実施する。

このほか、「円滑な出入国の環境整備」では、前年度比1.97倍の72億100万円を計上。入管・税関手続に必要な情報を同時に取得することを可能とする「共同キオスク」を順次導入するほか、最先端技術を用いた個人識別情報システムの機能強化、税関検査場電子申告ゲート(Eゲート)の機能強化も進める。

国内交流拡大ではワーケーション定着を

国内交流の拡大には6億4500万円を計上。新たな交流市場の創出として、「第2のふるさとづくり」、「ワーケーションの普及・定着」、国内外の旅行者を惹きつける「新たなレガシー形成」に取り組む。

具体的な内容は観光庁の資料から参照できる。

2024年度観光庁予算(PDF)

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