米国航空会社が加盟するエアラインズ・フォー・アメリカは、2025年10月1日に米政府機関の閉鎖が始まって以降、航空管制官の不足によって、320万人以上の旅客に影響が及んだと明らかにした。同団体によると、10月31日には、これまでで最悪の状況となり、1日のみで30万人以上が影響を受けた。
10月の遅延の16%は、人員不足によるもの。閉鎖前の5%から急増している。11月の最初の2日間でも、その割合は急拡大している。
11月1日(土曜日)には4600便の遅延と173便の欠航、11月2日(日曜日)には5800便の遅延と244便の欠航が発生。11月3日(月曜日)にも、約2900便が遅延した。米連邦航空局(FAA)は、ヒューストンやワシントンの空港では今後、さらに遅延が発生する見込みだと警告した。
政府機関の閉鎖によって、これまで管制官1万3000人、保安職員5万人が無給での勤務を余儀なくされている。FAAは、10月31日(金曜日)に米国の利用者数の上位30空港のうち、ほぼ半数で航空管制官の人員不足が発生し、6200便以上が遅延、500便が欠航となったと発表した。これは閉鎖開始以来、最悪の事態だ。
FAAによると、ニューヨークでは10月31日に航空管制官の80%が不在。ショーン・ダフィー運輸長官は、その日の遅延の65%は管制官の不在が原因だったと認めた。
同長官はCNBCでのインタビューで、現在進行中の政府機関の閉鎖について、「航空旅行が安全ではないと判断した場合、空域全体を閉鎖する。人々の移動は許可しない。しかし、現時点では、その段階には至っていない。ただ、大幅な遅延が発生しているだけだ」と話した。
このような事態に対して、ユナイテッド航空のスコット・カービーCEOは、現在も続く閉鎖が航空券の予約に影響を及ぼしており、航空会社は間近に迫ったホリデーシーズンを懸念していると話した。
航空会社、議会に閉鎖解除を要請
大手航空会社4社と全米航空管制官協会(NATAA)は、政府機関の再開を可能にするための暫定的な財源法案を議会が速やかに可決するよう求めている。航空会社は、航空安全上のリスクを理由に、閉鎖解除を繰り返し求めてきた。
閉鎖によって、これまで懸念されてきた人員不足をさらに悪化させ、2019年の35日間に及ぶ閉鎖期間後に発生した広範囲にわたる混乱が再び繰り返される恐れがある。
FAAによると、現在のところ目標とする管制官人員には約3500人不足しており、多くの管制官は閉鎖前から強制的な残業や週6日勤務を行っていたという。
※本記事は、ロイター通信との正規契約に基づいて、トラベルボイス編集部が翻訳・編集しました。


