グーグル(Google)が、検索時のユーザーの質問に対してAI「Gemini」が回答する「AIモード」で、ホテルの直接予約、Googleフライトの価格追跡、そして航空券やホテルのポイント・マイル料金(会員向け価格)の表示オプションの提供を開始する。2026年8月上旬に開始した米国でのパイロット版から本格展開へと移行するもの。パートナーにはアラスカ航空、アメリカン航空、マリオット・インターナショナル、Booking.com、エクスペディア・グループなどが含まれている。
Google検索のグループプロダクトマネージャーであるジェームズ・バイヤーズ氏は、観光産業ニュース「フォーカスワイヤ」の取材に対し、「我々は、AIモードを旅行先のアイデアを得たり、航空便やホテルを確認したり、地図を使って現地のオススメを見つけたりするための素晴らしい場所にすべく、多大な投資を行ってきた」と語った。
同氏は、2025年11月に米サンディエゴで開催された「フォーカスライト・カンファレンス2025」で、最小限の指示で目的達成のために自律的に動作するエージェンティックAIを将来的にフライトやホテルの予約もAIモードで直接完了できるようにする方針を明らかにしていた。その段階では、すでにレストラン、イベントチケット、美容・ウェルネスの分野でAIモードによる予約プラットフォームなどのオプションをリアルタイムで表示する機能の提供を開始していた。
エージェント型ホテル予約
ここ数ヶ月にわたる米国でのパイロット版の運用を経て、AIモードでのエージェント型ホテル予約が米国で正式にローンチされた。在庫(インベントリー)を提供するパートナーには、エクスペディア、Booking.com、ヒルトン、Hotels.com、チョイス・ホテルズ・インターナショナル、IHGホテルズ&リゾーツ、プライスライン、マリオット・インターナショナル、ウィンダム・ホテルズ&リゾーツ、Trip.comが含まれる。
Googleにログインしている旅行者は、AIモードにおいて自然言語で検索条件を入力でき、クエリ(検索キーワード)に合致した宿泊客のレビューを含むホテルのリストが表示される。
バイヤーズ氏は次のように述べている。「AIモードで直接予約できるリンクが表示されるとともに、AIモード内の直接予約を使用しない他パートナー経由での予約オプションのリストも表示される。我々の目標は、包括的な検索結果を提示し、ユーザーにその選択肢を提供することだ」
AIモードを通じた予約を選択したユーザーは、「Google Pay」を使って購入を完了させる。現時点では、ホテルであれオンライン旅行会社(OTA)であれ、予約パートナーがマーチャント・オブ・レコード(MoR:決済主体となる販売者)となり、予約後のカスタマーサービスも管理する。しかしバイヤーズ氏は、Googleが旅行者とパートナー双方の手間を減らす機会を模索していることから、将来的にこれが変わる可能性があることも示唆した。
また同氏によると、AIモードのパートナー企業は、特定の予約に関連するデータのみを受け取る。Googleが旅行者の過去の検索詳細や、AIモードでの会話のコンテキスト(文脈)を共有することはない。
Googleは2026年1月にアマデウスなどのパートナーとともに「Universal Commerce Protocol(UCP)」を導入したが、今回のホテル予約機能はまだ完全にこの技術に依存しているわけではない。
「初期の展開ではさまざまな連携ルートが混在しており、これらのホテルをオンライン化するための複数の方法をテストしてきた」とバイヤーズ氏は説明する。「規模を拡大していくにつれて、これを拡張するための共通プラットフォームおよびプロトコルとして、UCPに依存することになるだろう」
UCPとは、AIエージェントが情報の検索から購入、決済までを一気通貫で実行するためのグーグルの共通規格。いわば「AIが人間の代わりに取引を行うための標準言語」だ。最大の特徴は、AIエージェントによる予約・購買の完全自動化。UCPが普及すれば、ユーザーがAIに口頭で指示するだけで、AIは裏側で各社の在庫をリアルタイムに確認し、支払いまでを自律的に完結させると言われている。
広告の導入は「まだ先」
表示順位に関してバイヤーズ氏は、AIモードでの検索結果は広告の影響を受けず、従来の検索結果と同じ方法でランク付けされていると説明した。
「我々は多くの異なる要素、最も重要なのはユーザーが求めている内容を考慮し、様々な要素を用いて選択肢のランキングを導き出している」(バイヤーズ氏)
しかし、将来にわたって広告が完全に排除されるわけではない。
バイヤーズ氏は次のように述べている。
「我々は常に、ユーザーが素晴らしいホテルを見つけるのを支援する適切な方法を探している。それがオーガニックな経路を通じることもあれば、広告が含まれることもある」
「現在は、まだ初期段階だ。我々がAIモードで本当に確立しようとしているのは、ユーザーにとって非常に役立つサービスである。それはパートナーにとっても素晴らしいサービスであり、今後我々が実験を進めていく領域になると思う」
AIモードでの航空券検索とロイヤルティプログラム
また、AIモードにおいてフライトのお得な情報や、航空券およびホテルのロイヤルティプログラム(ポイント等)の提供状況を見つけられる機能を追加している。
AIモードのフライト価格追跡ツールは、チャットでの会話を中断することなく価格アラートを提供する。現在、この機能はAIモード内で一部の国・地域で利用可能だが、EU(欧州連合)では提供されていない。
旅行者が希望する出発地、目的地、日時を伝えると、AIモードは300以上の提携航空会社や旅行サイトから最新価格の選択肢を表示する。ユーザーはパートナーのウェブサイトで購入する前に、AIモード内で旅程を構築することができる。
さらに、Googleはロイヤルティプログラムも活用している。
検索のAIモードでは、アラスカ航空/ハワイアン航空、チョイス・ホテルズ・インターナショナル、アメリカン航空、ヒルトン、ウィンダム・ホテルズ&リゾーツなどのパートナーについて、航空便とホテルの両方のコストをポイントやマイル数で表示できる。アコー、ハイアット、LATAM航空、ルフトハンザグループ、フライング・ブルー(エールフランス・KLM等のプログラム)も間もなく追加される予定だ。
一方で、2025年11月の段階で航空券の予約について取り組んでいるとしていたが、バイヤーズ氏によると、まだその段階には達していない。バイヤーズ氏は「将来的な航空券の予約機能については、現在も積極的に検討や調査を進めているところだ」と締めくくった。
※ユーロ円換算は1ユーロ183円でトラベルボイスが算出
※この記事は、世界的な旅行調査フォーカスライト社が運営する「フォーカスワイヤ(PhocusWire)」から届いた英文記事を、同社との正式提携に基づいて、トラベルボイス編集部が日本語翻訳・編集したものです。
オリジナル記事:Hotel booking goes live in Google's AI Mode, flights still waiting






