国交省、知床遊覧船事故で第1回検討会を開催、小型船舶の旅客輸送で年内に安全対策を取りまとめへ

国土交通省は2022年5月11日、「第1回知床遊覧船事故対策検討委員会」を開催した。北海道・知床で事故を起こした遊覧船(KAZU1:総トン数19トン)を踏まえ、小型船舶(総トン数20トン未満)の旅客輸送における安全対策を検討する。旅客輸送をおこなう小型船舶の認可事業者数は、全国で一般旅客定期航路事業(フェリーや離島航路など)が109、不定期航路事業(遊覧船やレストラン船など)は606あるという。

検討委員会は、岸田総理大臣から法的規制を含めて徹底的な安全対策を講じるようにとの指示で立ち上げ。今後、議論を重ね、7月中に中間取りまとめをし、年内に安全対策を取りまとめる。

第1回の会合には冒頭、国土交通大臣の斉藤鉄夫氏と、現地対策本部からオンラインで副大臣の渡辺猛之氏も出席。斉藤大臣は、実効性ある安全対策をしっかり作り上げ、二度とこのような事故が起きないよう取り組む意思を示した。

その後の会議(非公開)では、出席した各委員が今回の事故に対し、フリートークで所感や意見を述べた。これらの意見を整理し、2回目以降の委員会で安全管理規定の実効性の確保や監査・行政処分のあり方、利用者への安全情報の提供などテーマ別に議論を深めていく。

また、今回は検討期間が限られる中で、対象を小型船舶に絞ることになったが、船のサイズに関わらず共通する項目については、大型船舶にも活かすこともあり得るとした。

会合で検討する事項(テーマ)と委員会のメンバーは以下の通り。検討事項は現在実施中の知床遊覧船に対する特別監査の内容や、委員会での議論を踏まえ、検討内容の追加・変更もあるという。委員会での検討事項と委員会のメンバーは以下の通り。

委員会で予定する検討事項

  • 事業参入の際の安全確保に関するチェックの強化(役員・運航管理者の資質の確保 等)
  • 安全管理規程の実効性の確保 (気象・海象を踏まえた運航可否判断の適正化 等)
  • 監査・行政処分のあり方
  • 船員の技量向上(船長になるための運航経験 等)
  • 船舶検査の実効性の向上(検査内容の重点化 等)
  • 設備要件の強化(無線・救命設備 等)
  • 利用者への安全情報の提供
  • その他

「知床遊覧船事故対策検討委員会」委員(50音順)

  • 安部誠治氏:関西大学社会安全学部・社会安全研究科 教授
  • 梅田直哉氏:大阪大学大学院工学研究科 教授
  • 河野真理子氏:早稲田大学法学学術院 教授
  • 河野康子氏:日本消費者協会 理事
  • 小松原明哲氏:早稲田大学理工学術院 教授
  • 庄司るり氏:東京海洋大学学術研究院海事システム工学部門 教授
  • 髙橋晃氏:道東観光開発 代表取締役社長
  • 田中義照氏:国立研究開発法人 海上・港湾・航空技術研究所 海上技術安全研究所企画部 研究特命主管
  • 中山龍太郎氏:弁護士
  • 野川忍氏:明治大学専門職大学院法務研究科 教授
  • 眞嶋洋氏:日本海洋レジャー安全・振興協会 理事長
  • 南健悟氏:日本大学法学部 教授
  • 山内弘隆氏:一橋大学 名誉教授 ◎委員長
  • 渡邉勝吉氏:日本旅客船協会 理事 

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