
新潟県の地域航空会社トキエアが新たなフェーズに入る。最高経営責任者(CEO)&クリエイティブ・ディレクターの和田直希氏が新たな構想を発表した。
また、和田氏が代表を務めるエンターテイメント企業「LAND」がトキエアの株式32.34%を取得したことに加えて、LANDの株式24.78%を取得したHIUインベストメント代表の堀江貴文氏が取締役として経営に参画することも明らかにされた。
和田氏は、2025年6月に同航空の代表取締役に就任している。
和田氏は発表会見でトキエアの経営方針について、「グローバル産業の育成、地方の過疎化、産業の空洞化の課題を解決していく」と強調。また、堀江氏は「飛行機が好きで、いつかエアラインの経営に関わりたいと思っていた。日本の地方には空港が多く、もっと飛べれば面白いことができる」と話し、地方創生に意欲を示した。
トキエアは、現在運航中の丘珠(札幌)、神戸、中部線の定期便に加えて、新たに法人向けのチャーター便運航を開始する。チャーター専用アプリ「SORA PASS」を提供し、先着100社に1区間100万円でチャーター便を運航。さらに、機体広告オプションも100万円で提供する。
また、新潟県民向けにスーパーアプリ「TOKILAND」も開発していく構想も明らかにした。交通、病院、レストランなどの予約から、決済、マイレージやポイント連携までワンストップで提供していくことを目指す。和田氏は「EC機能なども実装し、新潟県での生活をさらに便利にしていく。次の大きな目標は、このアプリでのトランザクションを高めていくこと」と説明した。
さらに、新潟県の産業活性化を目指し、ものづくりの町である燕三条を拠点にLSA(Light Sport Aircraft: 小型航空機)の開発事業にも乗り出す。日本の航空産業の再興を視野に、開発・製造を進め、将来的には米国市場での販売を目指す。ロケット打ち上げ事業を進める堀江氏は、日本の航空機製造の歴史について触れたうえで、「LSAは日本の航空機産業の未来」と話し、LSA事業への積極的な関与を示唆した。
「トキエアで日本の航空産業を民主化していく」と和田氏。2026年度で単月黒字化、2027年度で通年黒字化を目指す考えだ。
トキエアの未来を語る和田氏(左)と堀江氏。地方はマーケティング次第で宝の山
トキエアは2024年1月の就航以来、2025年9月末時点で約25万3000人が搭乗。2025年の搭乗率は71.37%、定時出発率は96.14%。和田氏は「72人乗りだと、マーケティング次第で、どこの地方でも飛ばせる」と話し、佐渡を含めた路線の拡大に意欲を示した。
また、堀江氏は「地方では素晴らしいものが二束三文で売られている。アンダーバリューされているが、実はブランディング次第で宝の山になる」と話し、地方の潜在性を強調。そのうえで、「航空産業とエンタメは親和性が高い。地方のイベントへのチャーター便のニーズも高まってくる。トキエアと地方の陸や海の交通機関とを結べば、もっと面白いことができる」と未来を見据えた。