築古ビルの再生事業を手がける「リアルゲイト」は、2026年1月に渋谷区幡ヶ谷一丁目に「SHIFT HOTEL(シフトホテル)」をオープンする。同社は、これまで築古ビルをオフィス、ショップ、イベントスペースなどの再生で実績をあげてきたが、新たにホテル事業に進出。SHIFT HOTELはその第一弾となる。
運営は、次世代型オペレーションプラットフォーム「suitebook」を開発・提供し、自社プランド「Minn」やエスコンフィールドHOKKAIDOの「tower eleven hotel」を運営するSQUEEZE(スクイーズ)が担う。2025年11月19日から予約の受付を開始した。
SHIFT HOTELは、築52年の横森製作所の別館ビルをリノベーションしたもの。本館は、1階の「Sdai Coffee(セダイコーヒー)」と「hebeerryk!wineshop(ヘベレケワインショップ)」とオフィスなどから構成される複合施設「THESTEPS」として2025年10月にオープンした。
リアルゲイトは、これまでのオフィス事業に加えて、SQUEEZEとの協業でホテル事業を展開することで、建物再生の可能性をさらに広げ、街に新たな価値を生み出していく考えだ。
先行オープンした複合施設「THESTEPS」。「SHIFT HOTEL」はこの裏側の別館に
SHIFT HOTELのコンセプトは、旅の滞在目的やライフスタイルに合わせて、文化との触れ合いを通じて自分らしい時間を過ごしてもらうこと。客室は2室で、「1A」がデラックスメゾネット2ベッドルーム 7ベッド、「1B」がデラックスメゾネット6ベッド。グループでの宿泊を想定し、ランドリーやミニキッチンも設置することで長期滞在にも対応する。
リアルゲイトがリデザインするオフィス内装はアートワークなどを重視した個性的なもの。リアルゲイト企画営業部部長の太田薫氏は、「その同じような特徴をホテルでも展開できれば個性的な宿泊体験になるのではないか」と話す。その考えから、客室に飾られるアートは地元幡ヶ谷にギャラリーを構える「gallery commune」が担当。幡ヶ谷という街の空気感に馴染むアートワークを飾った。
1階はリビングスペースのほかランドリーやミニキッチンも
また、リアルゲイトは、既存の素材を活かすリノベーションに強みを持つことから、ホテルでも耐震補強を加えながらも、古いコンクリートを剥き出しにすることなどで、斬新な内装に仕上げた。そのため、当時落書きされた数字などもそのまま残すことで、アート感を創り出している。
さらに、SHIFT HOTELでは、地域に溶け込み、暮らすように旅をする体験を提供するために、徒歩5分ほどのところにある京王新線幡ヶ谷駅周辺の飲食店やショップを紹介する「幡ヶ谷マップ」を作成。宿泊者に配布することで、地域での回遊を促していく。
神南や東麻布でもホテル開発で協業
SHIFTHOTELの運営をおこなうSQUEEZEは、宿泊者のメインターゲットとして観光客やワーケーション目的のインバウンド層と想定。エントランスにはセルフチェックイン機を設置する。
両社は今後、幡ヶ谷に続き、渋谷区神南エリア、港区東麻布エリアでも、それぞれの立地や建物の特性を生かしたホテル展開を計画している。
太田氏は「オフィスと同様にホテルも稼働率が重要になってくる。他社との差別化を図って、リアルゲイトのホテルだから泊まりたいという人たちを獲得していきたい」と意欲を示した。
