ハワイ・マウイ島、住宅地区のバケーションレンタル廃止へ、山火事による住宅不足に対処

写真:AP通信

ハワイ・マウイ郡議会の住宅委員会は、同島の住宅地区でバケーションレンタル(短期宿泊賃貸/ショート・ターム・レンタル/STR)を廃止する法案を可決した。2年前にラハイナの大部分を焼き尽くした山火事によって悪化した住宅不足に対処するのが目的だ。

これまでは、住宅地区にあるコンドミニアムの所有者は、数日または数週間単位でユニットを貸し出すことが可能だったが、この法案はそれを不可とするもの。

郡議会もこの法案を可決する見込み。可決されれば、この法案は2028年にラハイナを含む西マウイ地区で発効する。残りの地域は、2030年までに遵守する必要がある。

人口約16万5000人のマウイ郡では現在、バケーションレンタルが全住宅の21%を占めているという。ハワイ大学の分析によると、この法案によってマウイ島の住宅数は6127戸が追加され、供給量は13%増加すると予測。また、コンドミニアムの価格は20~40%下落すると推定されている。

一方、山火事によってマウイ島の観光客向け宿泊施設の4分の1が消滅。観光客の消費は15%減少し、GDPは4%減少すると推定する報告もある。

しかし、リチャード・ビッセン郡長は、こうした経済分析では全体像を把握できないとしたうえで、「住宅価格の高騰によって家族が引き裂かれ、世代を超えてマウイ島を離れると文化遺産が失われる」と指摘。「観光は地域社会を空洞化させない方法でおこなわれなければならない」と続けた。

郡長のスタッフは、この措置によって観光消費額は減少するが、その大半は宿泊費になると説明。ただし、住宅地区のバケーションレンタル所有者の94%はマウイ島外に住んでいるため、その収入の多くはすでに島外に流出しているという。

この法案の施行によって、年間税収が推定6100万ドル(約90億ドル)減少すると仮定しても、郡の予算は持ちこたえられると予測している。

※本記事は、AP通信との正規契約に基づいて、トラベルボイス編集部が翻訳・編集しました。

※ドル円換算は1ドル148円でトラベルボイス編集部が算出

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