
KabuK Style(カブクスタイル)が米国進出やコンセプト刷新など今後の戦略を語る発表会をおこなった。2025年8月1日から旅行サービス「HafH(ハフ)」のコンセプトを、これまでの「旅のサブスク」から「つみたてサービス」にリニューアル。同時に、新たな「ウォレット機能」の提供を開始する。HafHは、これまで月額制でコイン購入による宿泊予約を軸に予約サービスを提供してきたが、「サブスク=使い放題」という誤解があったという。
コイン残高に応じた「ウォレットボーナス」
同社代表取締役の砂田憲治氏は発表会見で、このリニューアルの背景について、「『サブスクは使い放題』という一般的なイメージがある。しかし、今のサブスクのサービスのほとんどは使い放題ではない。そのギャップを解消するために、1年以上をかけてユーザーとの対話を続けてきた結果、最終的に『つみたて旅行サービス』に変更することにした」と明かした。
これまでは、月額2980円のベーシックプランと月額9800円のスタンダードプランの2通りの固定プランで予約に使えるコインを付与してきた。今後は最小100コインから最大2000コインまで、50コイン刻みで自身の好きなコイン数を毎月積み立てられる「ウォレット機能」を導入。コイン単価は一律32円とし、コイン積立額とメンバーシップ料金(200円)が月額料金になる。
砂田氏は「旅行にあまり行かない人、頻繁に旅行に行く人、自身の財布事情に合わせた自由に設定できるようになる」と説明した。柔軟性を持たせながら、より簡単に旅の予約を完結できるようにする。
また、ウォレット機能の導入に合わせて、新たにコイン残高に応じた「ウォレットボーナス」も開始する。これは、通常コインに対して、会員ステータスに応じた年率でボーナスコインが毎月付与されるもの。Regularは1%、VIP Sliverは3%、VIP Goldは6%、VIP Platinumは12%。現在の利用プランは8月1日以降、自動的にウォレット機能に移行する。
砂田氏は、課金の量ではなく継続的に課金するユーザーを重視する仕組みと説明。「今、旅行をしない人も、(つみたてることで)例えば1年後にはタダで旅行に行けるような感覚」と話し、従来のサブスクとは異なるコンセプトであることを強調した。
会見でサービスリニューアルを説明する砂田氏米国でサービス開始へ、AIコンシェルジュが好評
加えて、KabuK Styleは、日本、台湾、韓国に続き、米国でのサービスを開始する。砂田氏は、訪日米国人旅行者の増加が続くなか「米国は絶対避けて通れない市場」と位置付け、「早く始めて実績を残していく必要がある。現在、かなりの時間を米国に費やしている」と続けた。
米国では「Kabuk(カブク)」のブランド名で訪日旅行を中心に販売。今年7月にベータ版をリリースした。AIアシスタント付きの旅行コンシェルジュ、旅費の10%をカバー、最大40%の宿泊費割引、旅行開始7日前までキャンセル可能などを打ち出し、支払いはBook Now Pay Later(BNPL)を導入して旅行開始まで分割払いを可能にする。
本格ローンチに先立ち、SNSやYouTubeなどでサービス内容を継続的に露出したところ、事前登録はすでに1000件を超えた。その売上は、訪日旅行の費用平均4000ドルと仮定すると、6億円に相当すると推計されるという。
AI旅行コンシェルジュの本格提供
このほか、国内ですでにベータ版がリリースされているLINE対応のAI旅行コンシェルジュ「ハフっち」の提供を本格的に開始する。「ハフっち」は、旅行先が決まっていなくても、旅のアイデアや宿泊先の提案を受けられるもの。砂田氏は「旅行特化型AIとして、検索する範囲が限定されるため、レスポンスのスピードが早い。また、実際にHafHが取引している宿泊施設の情報に基づいているため、正しい情報が提供できる」と自信を示した。
同社によると、これまでAIで対話をした人のCVR(成約率)は77%。対話を10件以上おこなった人は19%、2日以上継続して利用した人は33%、一人当たり平均8.2件の対話となったことから、AI旅行コンシェルジュに対して「非常に高い関心が確認できた」としている。
将来的にはアクティビティにも意欲
KabuK Styleが創業したのは2019年。2024年までの5年間の平均成長率は299%で、2024年度は24億円の売上実績をあげた。提供可能ホテルは、ホテル宿泊卸売りの世界大手Hotelbeds(ホテルベッズ)との事業提携なども含めて、現在127カ国1万5000件まで拡大している。「今後もさまざまなホールセラーと話をしていく考え」(砂田氏)。
会員数は13万人強。ユーザー年齢の中央値は37歳で、20代後半から40代前半が全体の8割を占める。3カ国でサービス展開しているが、現在は95%が日本人ユーザーで、そのうち15%が海外旅行になっているという。平均旅行頻度は3ヶ月に1回で、「一般的な旅行者よりも頻度は硬い」と分析している。
さらに、砂田氏は今後について、「今後1~2年のうちに、航空、アクティビティまで進出していきたい」と意欲を示した。