日本政府観光局、生成AIへの対応強化、サイトの内部リンク構造の最適化など、「AIに信頼される情報源に」

日本政府観光局(JNTO)は、世界に発信する各種情報について、生成AIへの対応を強化する。このほど開催したメディアブリーフィングで企画総室デジタルマーケティングセンター・センター長の鄭然凡氏は「多言語ウェブサイトはAIO(AI Optimization/AIへの最適化)対応への転換期。生成AIに信頼される情報源に変えていく」と述べた。

具体的には、JNTOは来年度から、従来のSEO対策に加えて、Googleが提唱するE-E-A-T(体験・専門性・権威性・信頼性)対策の最適化を進めるほか、AIが読み取りやすくするために内部リンク構造の最適化も実施する。また、FAQやランキング記事などを増やし、生成AIが参照しやすい情報を拡充していく。鄭氏は「Googleが勧めるGoogle Discoverに取り上げられるようにしていく」との方針を示した。

また、SNSでの動画コンテンツの配信の強化も継続。縦長のショート動画やリール動画で、高画質、地域性、季節性、旅行者目線などを考慮しながら、エンゲージメントを高め、旅行のインスピレーションを刺激していく。

海外事務所職員が現地視察でフィードバック

メディアブリーフイングでは、地域連携部地域プロモーション連絡室・室長の吉越大悟氏が、地域におけるインバウンド人材育成の支援について説明した。JNTOは全国10都市で研修会を開催し、JNTO職員や外部講師による講演を実施。今後は、10月27日に富山市、11月10日に大阪市、11月28日に広島市、12月1日に那覇市で開催する。

さらに、JNTO海外事務所の職員が地域を視察し、その内容をフィードバックすることで、観光コンテンツの磨き上げを支援する取り組みも展開。これまで、北海道ではバンコク事務所とニューヨーク事務所、四国では上海事務所とフランクフルト事務所が担当した。11月下旬には、中国地方でソウル事務所とシドニー事務所が実施。視察の最終日にはインバウンド研修会で視察内容をフィードバックする機会を設ける。

高まる日本の選択率

このほか、理事の出口ゆきゆ氏が最新の市場動向を説明。訪日旅行者数は2025年9月までの累計で過去最速で3000万人を突破したことに触れたうえで、「2024年以降、日本への外国人旅行者数の伸びは世界全体を上回っている」と説明した。

2019年を100%とすると、2025年1月~6月の世界全体では103.7%の伸びに対して、日本は129.4%と大きく増加。特に、米国市場では、訪日旅行の選択率が大きく上昇し、2024年の米国人旅行者の訪日旅行の選択率は2019年の1.7%から2.5%となった。出口氏によると、他海外事務所からも日本の選択率が高まっていると報告されているという。

また、出口氏は、夏場に東南アジアからの訪日客が落ち込んでいることについて、一般的に旅行シーズンではないことに加えて、「リピーターが多く、日本の夏は暑いという情報が広まっていることもあるのではないか」との考えを示した。

みんなのVOICEこの記事を読んで思った意見や感想を書いてください。

観光産業ニュース「トラベルボイス」編集部から届く

一歩先の未来がみえるメルマガ「今日のヘッドライン」 、もうご登録済みですよね?

もし未だ登録していないなら…