トラベルボイス記事の年間ランキング2025、今年1番読まれた記事は?

2025年も残すところ、わずかとなりました。今年もトラベルボイスでは旅行・観光・テクノロジーに関わる数多くのニュースを取り上げてきました。その中で、読者の方々の関心を集めた記事のアクセスランキングを発表し、今年を振り返ります。

※ランキングのトップ20は下段に記載。

インバウンド4000万人時代の到来

2025年は、ついに訪日インバウンドが年間4000万人という時代に突入しました。年間の訪日客数は、年明け1月の発表を待たなければなりませんが、1~11月までの累計ですでに史上最多を達成し、累計3907万人となっています。2025年は4000万人超えになることは、確実な情勢です。

その一方で、11月には大きな動きがありました。中国政府が自国民に日本への渡航自粛を呼びかけ、航空便も減少しました。残念ながら、今年のアクセス1位はこのニュースを伝える記事となりました。現在までに、2024年末に発表された中国人向けビザ緩和も実現していません。訪日市場において大きなシェアを占める市場の不透明な状況が、早期に改善されることを願っています。

オーバーツーリズム対策と誘客は一体に

インバウンドの拡大で社会の注目が高まり続けているオーバーツーリズムについては、各地で具体的な対応が動き出した一年でもありました。マナー啓発、手ぶら観光の推進、路線バスの混雑対策、人が集中しないための動線確保など、一歩踏み込んだ取り組みが進展しました。今や、観光地経営において、オーバーツーリズム対策は誘客とセットで検討するものとなりつつあります。

観光庁へのインタビュー(8位)では、その方向性について「オーバーツーリズム対策は、より良い地域づくりのために一つひとつの課題を正確にとらえたアプローチが求められている」という発言がありました。また、取り組みの目的を「観光客の受け入れと住民の生活の質を確保しつつ、持続可能な観光地域づくりを実現するためには、地域自身があるべき姿を描き、実情に応じた具体策を講じることが有効である」と示しています。

日本人の海外旅行動向

長らく停滞が続いていた日本人の海外旅行市場には、秋以降、回復の兆しが見えてきました。欧州など長距離の海外観光局からも、来年に向けたポジティブな声が届き始めています。

特筆すべきは、20代の出国率が年代別でトップを走っていること(2位)です。12月のJTBのブラックフライデーセールでは、円高の時代を知らない若年層が需要を牽引したというニュース(17位)も注目を集めました。

2026年には、パスポート取得手数料の減額、同時期に「国際観光旅客税(出国税)」の引き上げが見込まれています。このコスト変動が、継続的な海外旅行市場にどう影響を与えるか、今後の注目のポイントとなるでしょう。

旅行分野のAI連携が急拡大

テクノロジー分野では、生成AIが「予約」のフェーズへと一気に進展しました。

オープンAI(OpenAI)は、ChatGPT内に外部アプリを統合する仕組みを開始、ユーザーがチャットの中で「エクスペディア」や「ブッキング・ドットコム」と入力すれば、それぞれの旅行サービスをChatGPT上で利用できる機能を提供開始しました。

また、GoogleもAI「Gemini」において、フライトやホテル予約をAIモードで完了させるロードマップを提示。旅行予約のUI/UXは、条件を指定して検索結果から選ぶスタイルから、AIとの対話を通じて決めるものに劇的な変化を遂げようとしています。

新たな集客・予約の形は、今後の旅行マーケティングのあり方を根本から再定義することになりそうです。

消費者向けのほか、BtoB分野でも航空会社のルートや航空機の最適化、宿泊施設の施設運営支援など、開発が活発化しています。この動きは、来年もさらに加速していくことでしょう。今後も、世界、国内の動向を注視してニュースをお伝えしていきたいと考えています。

今年のトラベルボイス記事の年間ランキング、上位20は以下の通りです。この数年、トラベルボイスのアクセスランキングの上位と、それ以下の差が縮まる傾向にあります。瞬発力のあるニュースだけでなく、良質なコラムが安定して読まれる背景には、AI普及による情報接点の変化もありそうです。今後のオンラインメディアにとって、ランキングの意味合いも変わりつつあるのかもしれません。

【トラベルボイス記事の年間ランキング2025 トップ20】

さて、今年は大阪・関西万博という一大イベントがありました。海外パビリオンが立ち並ぶ会場内では、世界に対する好奇心で興奮した表情の人々、パビリオンスタッフとリアルな交流を楽しむ人々の姿が数多くみられました。未来社会への期待とともに、少なからず海外旅行に対する関心は高まったのではないかと感じています。2026年は、この一大イベントの興奮を一過性で終わらせず、いかにレガシーとして定着させるかの検証が始まります。

2026年には、出国税の引き上げや、免税手続きの「リファンド方式」導入など、制度面での大きな変化が予定されています。地方創生の分野では、住所地以外の地域に継続的に関わる人を「ふるさと住民」として登録し、地域の担い手確保や経済活性化につなげる仕組み「ふるさと住民制度」も動き出す見込みです。「関係人口」「二地域居住」といった動きとあわせて観光産業がいかに関わるかが問われることでしょう。

今年、高市政権が掲げた新たな成長戦略で「観光」の文字が消え、懸念が広がる場面もありました。今後は、日本観光振興協会の最明理事長がコラム(9位)で提言されたように、裾野の広い観光産業が成長戦略の重点分野を横断し、地域経済を牽引する基幹産業としての気概を持つことが求められています。観光が持つチカラを、改めて社会に示すべき時が来ています。

さて、トラベルボイスは、サイト開設から13年、来年は14年目を迎えます。来年も、旅行・観光ビジネスに関わる皆様の活動の一助となるニュース、旅行トレンド、専門家のコラムなど未来を読み解くヒントとなる情報を紹介していきます。

読者の皆様からも、ぜひ「こんな記事が読みたい」など、ご意見・ご要望をお寄せください。いただいたご意見などは、今後の編集に生かしてまいります。

各種お問合せ: Contact@TravelVoice.jp

トラベルボイス編集長 山岡薫

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